研究実績の概要 |
オスマン帝国の文芸文化の屋台骨を担ったオスマン文人・詩人の美意識の変遷を考証する本研究にあって今年度の主な目標は、これまで研究遂行者が行ってきた近世期についての研究成果を踏まえた上で、近代期(1839-1922)における文学的美意識の変化を、同時期の文人・詩人における創作環境の変化という社会的要因と、主に西欧からもたらされた新来の文学ジャンルやテーマの移入という叙法上の変化に分けて考察することであった。その成果については、まず口頭発表「『タラートとフィトナトの恋』の語りと「国語」創出の試行」、「近現代トルコ語、ペルシア語文学の展開:韻文と散文、口語と文語、翻訳と創作(トルコ文学研究会 第7回定例研究会)」東京外国語大学本郷サテライト, 2018年8月19日、ならびに「文学の都市イスタンブルの盛衰:現代トルコ文学の淵源としての都市像を読み解く」於ユヌス・エムレ文化センター(東京), 2018年11月17日において、その一部をまとめ公表した。また2018年度内の出版には間に合わなかったものの、同じく本研究の研究成果に依拠し、研究遂行者が共編・著者を務める論文集Shaping the Field of Translation, Esin Esen and Ryo Miyashita(eds.), 2 vols., Pete Lang GmbH, 2019として刊行予定である。以上のように概観すれば順調に研究遂行を行い得た思われる。
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