研究実績の概要 |
本研究最終年度の研究実施項目は、近代トルコ語文学における「音声的美意識の変容:韻律から音節へ」、および本研究全体の成果発表であった。まず前者についてはチューリプ時代(1718-30年)の代表的詩人ネディーム、19世紀の詩人ナームク・ケマルによる音節詩である歌謡詩、および19世紀に古典詩の総括と再編を行ったズィヤー・パシャ、ナームク・ケマル、ファルク・ナフィズらの詩論分析を予定し、これについてはおおむね予定通りに実施した。そのうえでその成果については、「オルハン・パムク『無垢の博物館』における破滅と慰撫:イスタンブールの都市記憶と事物の愛の関連性について」世界文学会, 「崩壊と世界文学」第1回連続研究会, 於オンライン, 2020年12月12日; 「トルコ小説における父なし子:パムク『赤い髪の女』」中東現代文学研究会@京都大学, 2020年1月12日; 宮下遼「文学的題材としてのトルコ史の諸相:トルコ歴史小説小史」中東現代文学研究会公開講演会於京都大学, 2020年1月11日などの研究発表において一部、報告したほか、トルコ語そのものの分析についての成果の一部も『トルコ語』大阪大学出版会, 2021として出版された。一方、本研究全体についての成果発表は、新書としてまとめつつあり、2021年夏季までには中央公論社より出版される予定である。
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