20世紀初頭に敦煌石窟をはじめとする中央アジアの諸遺跡からもたらされた古チベット語文書の中には、手紙や裁判、契約、医学などの非仏教文献が多数含まれている。中でも古代チベットの土着宗教を基盤とし、その実例を反映する占い文書は、チベット古来の信仰の具体相を知る上で貴重な資料であるにもかかわらず、これまで十分に研究されてこなかった。 本研究では、古チベット語占い文書の解読と分析を進め、それらと同時代に作成された他言語の占い文献との関連や現代のチベット語文献との継承関係の解明に取り組んだ。また、土着宗教に関わる古チベット語文書についても解読と分析を進めることで、古代チベットの信仰の実態解明を目指した。
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