研究課題/領域番号 |
17K13554
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
辻 明日香 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (60549509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中東 / 東方キリスト教 / 異文化交流 / 十字軍 / 教会合同運動 / コプト |
研究実績の概要 |
15世紀、ヨーロッパにおいて東西教会合同運動が盛り上がっていた頃、中東においても、反カルケドン派の東方キリスト教諸教会は互いの連携を強化し、カトリック教会による呼びかけにも積極的に対応していた。本研究は、迫害やペストの影響により弱体化しながらも、中東各地の東方キリスト教諸教会が互助しあうことで生き残っていった様相を、コプト教会を中心に研究する。 2019年度も引き続き、十字軍時代を中心に東方キリスト教諸教会とローマ・カトリック教会との歴史的関係を考察した。十字軍時代の中東における東方教会の状況については研究がさほど存在しないため、当時の情勢を明らかすることはその後の両教会間の関係を理解するために重要である。文献収集や史料の読解につとめ、①コプトと十字軍諸勢力との交流、②東方キリスト教諸教会の対ラテン教会(カトリック教会)観と交流の実態を中心に分析を行った。 今年度はとりわけ13-15世紀に形成された、キプロス島におけるコプト教会のコミュニティーに注目した。このコミュニティーの形成にはコプト教会と十字軍国家との良好な関係が寄与していたと思われるが、謎が多い。飢饉によるエジプトからシリア方面への移住やアッコンにおけるコプトの存在、キプロスに関する同時代史料からこの問題を検討した。このテーマに関する論考は2020年度に刊行される見込みである。 また、年度の後半は2020年7月に開催される予定であった国際コプト学学会、アラビア語キリスト教学会にての本研究に関する報告準備をしていたが、両学会とも2021年に延期になってしまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年冬―2020年春にレバノンで現地調査を行う予定であったが、 冬は調査対象地における政情不安、春は新型コロナウィルス流行の関係で渡航を断念した。しかしその分、今までに収集した文献の内容整理や史料の読解に時間を割くことができたため、次年度以降の成果発表に向けての準備をすることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も史料調査・収集、その読解や分析、そして海外調査を行っていく。なお、報告予定であった国際コプト学学会、アラビア語キリスト教学会が2021年に延期になり、秋以降も海外渡航や招聘について見通しがつかない状況であるため、現時点では手元にある史料の分析や論文執筆に力を入れている。また、アラビア語キリスト教学会のパネルの報告者たちと連絡を取り合いながら研究を深化させていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年冬―2020年春にレバノンで現地調査を行う予定であったが、 冬は調査対象地における政情不安、春は新型コロナウィルス流行の関係で渡航を断念した。
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