研究課題/領域番号 |
17K13555
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
帆北 智子 東北大学, 国際文化研究科, GSICSフェロー (90713214)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロレーヌ貴族 / ロレーヌ公権 / フランス王権 / 神聖ローマ帝権 / ロレーヌ大騎士 / ロレーヌ騎士団 / 政治・外交ネットワーク |
研究実績の概要 |
本年度は,現段階で必要となる文献,辞典,名簿類をほぼ購読しおえ,課題を遂行するための基礎を固めた。本課題が対象とするロレーヌ騎士団は,そこに属する貴族の数も家門名も文献によりまちまちであり,統一的な見解がない。そこで,ロレーヌ騎士団に関する主たる文献をほぼ網羅して騎士団に関する記述内容を整理することで,騎士団の性格や分析対象の軸となりうる貴族家門の輪郭をより明確化する作業をおこなった。 騎士団のどの貴族家門を軸に分析をすすめるかを決定する作業は,限られた研究期間においてロレーヌ貴族の政治・外交ネットワークをできる限り明らかにしようとする本課題の目的をより効果的に達成するために不可欠である。この作業は本来,一次史料の収集状況に応じておこなう予定であったが,昨年度につづいて本年度もまた,私事によりフランスへの渡航がかなわなかった。そこでさしあたり,18世紀後半から19世紀前半にかけて出された文献や刊行史料によって代替し,可能な範囲で軸となる貴族家門の選定作業をこころみた。今後,史料を収集したあかつきには,やはりその状況に応じて諸々の変更や再考が必要となるだろう。しかし,本年度の作業によって,ロレーヌ公国の伝統的な高位貴族である大騎士層の政治的動向に着目することが,本課題の目的達成にとって有効であるという判断に至ることができた点は収穫であった。結果として,本課題の基礎となる研究の方向性をより的確に定めることができたと考えるからである。なお,以上の成果の一部は論文にまとめて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度に引き続き,私事のため史料収集を目的とした渡航が叶わなかった。本来ならば助成の中断届等を申請したうえで,本課題を十分に遂行できる体制を整えるべきと考える。しかし,所属機関における身分の条件上,件の申請等による対応が非常に困難であることから現状を受け入れざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
何よりもまず,史料収集のための渡仏が必須であるが,現状を考慮すると次年度(2019年)中に実現しうるか否かはまだ不透明である。可能であれば,長期渡航や複数回渡航による調査によって研究の遅れを挽回したい。 一方,メインの史料収集先となる文書館は,建物のトラブルにより閉館中であるだけでなく,開館の目途もたっていない状況下にある。八方塞がりの状態といえるが,他の文書館史料を用いて研究を進められるよう,研究計画の再考をおこなっている。くわえて,研究期間の延長申請はもはや不可避であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金の主たる使途が史料収集のための調査旅行であるため,次年度使用額が生じた。
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