研究課題/領域番号 |
17K13555
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
帆北 智子 創価大学, 文学部, 准教授 (90713214)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロレーヌ公国 / ロレーヌ貴族 / 政治・外交ネットワーク / 所領 / 官職 |
研究実績の概要 |
本研究は,18 世紀ロレーヌ公国の貴族層が公国の外部にその社会的,政治的紐帯を広げていきながらロレーヌ固有の自己意識を形成ないしは強化していったという,一見すると矛盾した歴史現象について,ロレーヌ貴族社会に内在したてあろう集団的アイデンティティ観から理解することを目的としている。
今年度はまず,近世ロレーヌ史研究関連の史料のなかでもムルト=エ=モゼル県文書館が所蔵するフォンfondsについて,史料目録をたよりに整理した。この作業は,調査旅行が実現したさいの事前準備といった位置づけである。
次いで,助成期間内の調査旅行が叶わない場合を想定して,課題や検討範囲の再考と手持ちの史資料の整理をおこなった。これにより,ロレーヌ貴族家門のひとつであるシュワズル家の考察から,近世ロレーヌ貴族の集団的アイデンティティ観につながる諸要素を抽出し,今後の方向性を展望することができた。これについては論考を発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため本年度も調査旅行が叶わず,研究の進展に必要不可欠な史料の収集ができなかった。したがって,進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
状況が許せば,史料調査のための海外渡航を行うが,広範囲の貴族家門を対象とした調査を助成期間内に行うことはかなり困難だろう。今後は分析対象の家門をかなり絞ったうえで,調査と研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
延長期間を除いた当初の助成期間うち,計3回は調査旅行を目的とした海外渡航を実施する予定あったため,その費用を計上していた。しかし,個人的事由とコロナ禍により,未だ1度しか渡航できていない。助成金の主たる用途のほとんどが調査旅行費であるため,初年度から繰り越されてきた助成金が残っている状況にある。次年度もまた,コロナ禍やその他の事由によって渡航が叶わない場合もあるだろうが,可能であれば長期あるいは複数回の渡航を実施して,史料収集をおこないたいと考えている。
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