研究課題/領域番号 |
17K13558
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 惣 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10623390)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イタリア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、イタリア中世都市における金銭貸付の世界を、「市井の金貸し」と都市当局の活動に注目して明らかにするものである。 本年度はまず、昨年度の後半に収集した、ある医者の覚書史料の分析を引き続き行った。医者の下に金やモノを借りに来る顧客の分析や、返済状況、保証の方法、金とモノとの関係などの分析を行った。公証人を介した契約もそこに記されており、当該公証人の登記簿を文書館で収集し、両者の照合を行った。その結果、公証人を介さない契約がかなりの数に及ぶこと、そしてその多くが少額であることがわかり、公証人文書を通して研究されていた市民間での金銭貸借が、氷山の一角でしかないことが明らかになった。その内容は「中近世イタリア史研究会」および「関西中世史研究会」において報告した。 本年度の後半にはイタリア・ルッカ国立文書館で民事裁判記録や公証人記録の収集と分析を行った。民事裁判記録の中でも少額の金銭貸借を記録した『簡素な訴えの書(Liber Reclamorum simplicium)』の分析を行った結果、そこでの訴えの多さとともに、訴額や差し押さえ額が上記の医者の契約のものと近似していることが明らかになった。 イタリア渡航時にはボローニャ大学のムッザレッリ教授と研究ディスカッションを行った。特に、ある医者の覚書の内容について報告を行ったところ、カネとモノとの関係や、金貸しの保証の形態、クレジットの循環に関する議論について、その新規性と独創性を高く評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、イタリアのルッカ国立文書館での予定していた資料調査を行い、目的の資料の収集及び分析を行うことができたため。また予定していた海外の研究者との研究ディスカッションも行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本研究課題の最終年度であるため、現地の文書館での資料調査に加え、国際学会での報告や、論文の投稿を積極的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費において予定していた額より少ない支出での研究遂行が可能であったため。
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