研究課題/領域番号 |
17K13569
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
丸山 真史 東海大学, 海洋学部, 講師 (00566961)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 馬 / 馬飼い / 古墳時代 |
研究実績の概要 |
本研究は、大阪(河内)の古墳時代の馬飼いの実態を明らかにすることを目的としており、馬歯・馬骨の形態学的特徴、安定同位体分析、馬具や渡来人との関わりについて検討するものである。 2017年度は、研究初年度であり、研究協力者との打合せを行った。協力内容について確認を行い、古墳時代の馬に関連する考古学的研究について助言をもらった。分析作業の具体的内容は、古墳時代の河内の馬飼いの拠点集落の一つと考えられる大阪府蔀屋北遺跡から出土した馬歯、馬骨の安定同位体分析のサンプリングを行った。また、同じく河内の馬飼いに関連する日下貝塚から出土した、ほぼ完形の埋葬馬について形態学的特徴の観察および計測を行った。 次年度に安定同位体分析の結果が得られ、馬飼い集団が保有する馬の生育地に関する情報が得られることは重要である。さらに、これまで存在は知られていた日下貝塚出土の馬に関する形態学的特徴の詳細は不明であり、本研究において成果が得られたことは古墳時代の馬の姿の復原に重要な資料となる。 それらとは別に、群馬県立歴史博物館の協力を得て、同館が開催した古墳時代の馬に関する展示企画にあわせ、「古代の馬研究会」を開催した。本研究の主対象である大阪(河内)と古墳時代の馬の生産地と目される群馬(上野)の状況に関して、専門研究者で情報交換を行い、研究者間で情報共有できた点はこれまでの馬に関する研究を大きく前進させる契機となり意義深いものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、研究は順調である。研究協力者との連携は滞りなく、次年度の研究にもつながる助言をもらうことができた。分析面では形態学的特徴に関する観察、計測は終了しており、比較資料となる遺跡についても検索を開始し、予備調査も行うことができた。安定同位体分析のサンプリングも終了しており、次年度の結果を待ちつつ、検討内容についても分析依頼をした研究協力者と相談ができている。研究会の開催は、当初企画のテーマとは異なるが、馬飼いに関連する情報交換ができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画に従っており、本研究の要となる遺跡についての調査は一段落している。3年計画の2年目となる次年度には、研究を補強する遺跡から出土した馬の分析に着手する予定であり、分析に関する依頼などは、すでに相談を始めている。また、本年度にサンプリングした安定同位体分析については、研究協力者との検討内容について相談も済ませており、解釈に必要な類例などの探索を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、情報収集および資料調査に重点をおき、購入を予定していた設備備品で、本格的な資料整理や分析作業に必要なパソコンの購入を次年度に遅らせることにした。
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