ウワナベ古墳は佐紀古墳群東群に属する古墳時代中期の超巨大古墳である。1969~1970年に中堤の一部が発掘調査され、100本を超える埴輪が原位置で取り上げられた。しかし一部の資料を報告するにとどまっており、再整理と成果の速やかな公表が求められた。そこでこれらの埴輪を整理・検討し、写真図録を作成した。 また、佐紀古墳群東群に埴輪を供給したと目されてきたものの、実態が不明な部分が多かった東院下層埴輪窯跡群についても検討を加え、佐紀古墳群東群の巨大古墳造営開始を契機に開窯、その造営停止により生産を終了ないし縮小し、中小古墳への広域供給を目的とする菅原東埴輪窯へと埴輪生産の中心が移ったと理解した。
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