研究課題/領域番号 |
17K13575
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
中村 亜希子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (60600799)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 紋様磚 / SfM-MVS / フォトグラメトリー / 東アジア都城 / 瓦当 / 三次元計測 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、SfM-MVSのソフトMetashape(Agisoft社)のバージョンアップ前後における取得データの比較や、同じ画像を使用した場合に、画像形式やサイズ、解析の設定によって生成される三次元データにどのような違いが生じるかを検討し、その成果を日本文化財科学会のWeb大会にてポスター発表した。 また、考古学に携わる学生・研究者等が遺物のSfM-MVSをはじめるにあたって参考にできるよう、SfM-MVSの具体的な手順についてYouTubeにて動画を配信した。チャンネル名は「SfMの中村さん」(https://www.youtube.com/channel/UCiaz3uLsdO4JraZ4_teKL-Q/featured)で、令和2年度末までに8つの動画を公開し、フォトグラメトリーの基本や、写真撮影の方法、解析の設定や手順、生成したデータの利用方法等について詳しく解説した。それらの資料はPDF版も作成しており、researchmapの資料公開ページにて公表している。 なお、コロナ禍で首都圏への調査を控えていたため、東京大学所蔵の渤海紋様磚の計測は完了しなかったが、これまでの研究成果を論文として執筆し、オンライン研究会等の場で報告した。研究成果は、2021年5月刊行予定の『中国考古学論叢』(大貫静夫編、同成社)に、「渤海国の瓦■(セン)の変遷と系譜―紋様■(セン)を読み解く―」として掲載される。 さらに、2012~2015年度のJSPS特別研究員としての研究時にレーザースキャナーで計測した渤海上京城遺跡出土瓦当約300点分についても、本研究の手法を用いて紋様の復元をおこなうことで、新たな側面から研究・分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍のため、当初計画していた資料全点の調査と三次元計測は完遂していないが、その分、過去に計測した膨大な瓦当の三次元計測データの再検討をおこない、新たな所見が得られたため、結果として研究は当初の計画以上に進展しているといえる。 また、考古資料の三次元計測の手法について、YouTube動画やPDF(researchmapの公開資料等にて公開)を公表したが、予想以上の閲覧・ダウンロード数があり、研究成果のアウトプットも例年以上に効果的に行なうことができたと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば東京大学所在の渤海磚の計測と紋様の復元を完遂したいが、出張調査が困難である場合は、令和2年度に引き続き、上京城出土瓦当の紋様復元と分析をおこない、渤海都城における瓦磚が渤海遺跡においてどのように出土したかについて総体的に検討する予定である。また、計測手法のみならず、同笵製品の三次元データの比較方法についても、動画等にて広く公開していけたらと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた資料調査・計測がコロナ禍によって行えなかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度も資料調査が困難だと判断した場合、これまでに計測したデータの編集や分析、成果の公開に使用することも検討している。
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備考 |
「中村による、考古学徒のための フォトグラメトリーを使った遺物の三次元計測講座」にて計8つの動画を公開。
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