研究課題/領域番号 |
17K13583
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
半澤 誠司 明治学院大学, 社会学部, 教授 (20514954)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アニメーション産業 / コンテンツ産業 / 地方分散 / 地域労働市場 / ロックイン |
研究実績の概要 |
2021年度もコロナ禍のために,調査活動が停滞してしまっている。本年度は,これまでの研究成果を踏まえて理論的再整理を行った。 知識社会化が進む世界で重要性を増したコンテンツ産業における集積を分析するための視角としては,第一に,コンテンツ産業特有のイノベーションの特徴を捉えるために,企業の冗長性への耐性がいかなる形で集積利益として確保されているか検討する必要性を,第二に,文化的な経済活動を把握するために,流通部門と生産部門の関係性に留意する必要性がある。 このように,コンテンツ産業集積の研究は,地域イノベーション研究としての性質を持ちながらも,一般的経済活動に対する分析の延長線上に留めおかない視点を積極的に導入することで,一層の深化が可能となるため,経済地理学においては,たとえば製造業における業種間の違い以上に,コンテンツ産業の特性は一般的産業のそれとは質的に異なる面があることに対して,意識的に向き合っていくべきであろう。 今後の方向性として視野に入れるべきは,コンテンツ産業のような文化的経済活動と一般的経済活動が,今後も質的に異なるといえるかの検証である。経済活動が文化によって左右される傾向が強まる「経済の文化化」や,また,ポスト・フォーディズム期社会の先端的事例としてコンテンツ産業が取り上げられる場合があることなどを踏まえれば,文化的経済活動と一般的経済活動との垣根が低くなってきたと理解すべきであって,いずれそれらを区別する意味がなくなるとも想定できる。 こうした理論的検討を踏まえると,コンテンツ産業に限らず進んでいる地方立地や移住現象を,コンテンツ産業のそれと比較することで,上記の研究課題にも応えうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度もコロナ禍による調査の困難性と,校務等の多忙化により,研究活動が停滞してしまい,昨年度からの内容更新が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の調査環境はある程度改善しているため,残った調査を行いたいが,現地調査よりも確実性の高い東京でのデータ収集と入力および整理を優先したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張費用および関連費用が余っている。 出張が可能であれば出張費用と文字起こし費用に充て,そうでなければデータ入力や整理などのアルバイト代に研究費を使用したい。
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