本研究では中国広東省の元水上居民の文化とされる民俗文化を無形文化遺産(非物質文化遺産)として利用する人々の諸実践を分析した。政府による無形文化遺産としての公認、公認作業に貢献する知識人、歌の担い手、それぞれがどのような意図で活動をしているのかなどを調査・分析した。 コロナ禍により現地調査で人々の意図を確認することは十分にはできなかった。しかし、すでに一定の知名度を得て、組織化もされている団体に関しては、観光資源としてというよりは、コロナ対策や薬物禁止のキャンペーンなど、政府の広報イベントに動員されるなど、当初の文化の保護や地域の観光振興といった政府や知識人の思惑を超えた動きを確認した。
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