研究課題/領域番号 |
17K13594
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
八木 百合子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 助教 (80622133)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アンデス / 宗教 / キリスト教 / 聖像 / 継承 / 所有 / ペルー / モノ |
研究実績の概要 |
本年度は聖像の所有状況および入手方法の把握を目的に、ペルーにおいて現地調査を実施した。10月にはリマ市にある聖具店街で、12月にはクスコ市で開催される聖像販売市でそれぞれ調査をおこなった。これらの調査から、人びとの聖像所有の経緯のほか、所有者と購入者の関係性について明らかにすることができた。とくに後者の点からは、聖像の継承にも関わる重要な問題が浮かび上がった。
また、本研究にかかる成果の一部を、日本ラテンアメリカ学会の定期大会およびスペイン・サラマンカ大学で開催されたラテンアメリカ・カリブ社会科学学会(FLACSO)研究大会において報告した。さらに本年度は、「モノをとおしてみる現代の宗教的世界の諸相」と題する共同研究を立ち上げ、人類学・宗教・美術・芸術など隣接分野の研究者を交えた学際的な研究活動を開始した。初年度の共同研究会においては、上記調査結果をふまえ、ペルーにおける聖像の所有と継承に関する研究を発表したほか、数名の共同研究員とともに「宗教とモノ」に関する現代事情を機関誌の特集記事として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人びとが聖像を入手する際の拠点となる場所で調査をおこない、聖像所有の実態把握に関する大方の情報収集を終えた。また、初年度における成果については、研究の各段階において、国内外の関連学会で口頭発表および学術誌への寄稿をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、個人が所有する聖像の取扱いと継承プロセスの把握を目的に、実際に聖像を所有する人物を対象にした調査を実施する。現地調査については、私的領域に立ち入る都合上、申請者がこれまで調査を重ね、住民との信頼関係を築いてきたクスコ市内の二つの司教区住民を対象にすることでより円滑な調査を進める。
とくに、本研究課題の大きな目的のひとつである聖像の継承プロセスを明らかにするためにも、現在の聖像の所有者だけでなく、その履歴をたどり、所有者と譲渡または贈与した人物との関係を紐解く作業をおこなう。また、その過程で、信仰がいかに変化しているのかについても留意していくことで、モノを介した信仰形成のメカニズムの解明を目指す。
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