研究課題/領域番号 |
17K13594
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
八木 百合子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 助教 (80622133)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アンデス / 宗教 / キリスト教 / 聖人信仰 / 聖像 / モノ研究 / 物質文化 / 継承 |
研究実績の概要 |
本年度は、これまでの調査結果の分析と成果の取りまとめ作業を中心におこなった。 (1)ペルー南部のクスコ市を中心に、聖像の所有の経緯について、既存のデータを解析することで、いつ頃から聖像の継承がおこなわれ、いかなる意味付けがなされてきたのかが明らかになった。これにより、宗教的なモノと人びとの関係を解明する重要な側面が浮かび上がってきた。 (2)各世帯において、受け継がれてきた聖像の継承プロセスについて複数のパターンが存在することが判明した。一方で、この規則性から外れる特殊ケースが、この地域でみられ、その背景に、聖像という宗教的なモノと信仰との不可分な関係性がみえてきた。
これらの点をふまえ本年度は、「受け継がれるアンデスの聖像」と題する論考をまとめたほか、自身が企画・運営した共同研究のメンバーとともに、季刊誌において「モノからみた宗教の世界」という連載企画(全10回)を2020年7月よりスタートさせた。このほか、本研究課題に関連して組織した共同研究の成果刊行の一部として、他地域や他宗教を扱う研究メンバーの論文を収録し、人類学的なモノ研究や宗教の領域におけるモノに関する研究ついての展開や今後の可能性を示した論文集の出版に向けた編集作業をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた現地調査の実施を延期したため、予定していた最終調査に遅れが生じている。他方、既存のデータをもとに分析と予備的考察をおこなったほか、次年度に刊行予定の最終成果論集の取りまとめ作業の一部をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
渡航が可能になった段階で、現地において調査に取り掛かる予定である。これまでの調査で聞き取りをおこなってきた地域を中心に追跡調査を実施し、データの最終的な分析をおこなう。 現地調査が困難な場合には、ウェブ等を活用して可能な範囲で、これまでの調査の関係者に対する聞き取り調査をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により予定していた現地調査が延期となったため。次年度に繰り越された経費については、現地調査費用として使用する。
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