研究課題/領域番号 |
17K13598
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 圭介 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00612392)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 法哲学 / グローバル化 / 制度 / ニール・マコーミック / サンティ・ロマーノ / 法理論 / 国際法 / 法的推論 |
研究実績の概要 |
研究四年目にあたる2020年度は、本研究の目的である、グローバル化という今日的な状況の下で生じた法現象の説明・分析に有用であるような概念モデルを、「制度理論」と呼ばれる理論枠組に準拠するかたちで設定する作業の最終段階に入った。具体的には、以下の三つの研究を実施した。 ①まず、昨年度に引き続き、ニール・マコーミックが提唱した新しい類型の「制度理論」を応用する形で、グローバル化により生じた法現象の説明・分析のためのモデルの案出に努めた。具体的には、その理論を踏まえつつマコーミックによる道徳的推論の理論を応用することで、いわゆる法多元的状況に適合的な法的推論のあり方をめぐる一つの可能性を提案した。 ②次いで、昨年度に引き続き、法概念モデルの設定の基礎を提供する「制度理論」につき、その従来の主唱者たちが提示する議論の検討に取り組んだ。具体的には、サンティ・ロマーノが提唱した古い類型の理論に着目し、近時に英訳が刊行されたことで活発化している英語圏での議論も適宜参照しつつ、その現代的な含意を取り出すことに努めた。 ③加えて、本研究と密接に関連するものとして、グローバル化という今日的な状況における、「制度理論」の知見を踏まえた望ましい秩序のあり方についての検討を行った。具体的には、マコーミックがヨーロッパ統合の文脈で援用していた「立憲主義」という概念をグローバルな平面に応用する近時の試みを応用する試みに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対応に追われた結果、当初に設定された四年目(研究最終年)の計画に沿った形で研究を進めることがほぼできなかった。 上記①については、年度末に関連する論文を刊行し、議論の端緒を示すことはできた。②と③については、着手したものの完全に足踏みの状態が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題については、一年の期間延長が認められている。そのため、上記②と③については年度の前半にある程度の区切りをつけ、年度の後半に研究全体の総括を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、使用計画に変更が生じたため。次年度は、研究遂行のために必要となる書籍購入費と、可能となった場合には旅費に残りの研究費を当てることを予定している。
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