法令の経過規定をめぐっては、立法論・政策論と法理論とが複雑に交錯すると考えられるが、これまで法理論的研究は少なかった。本研究は、法理論的観点から研究を行い、分析・検討の枠組みを示した。特に、この問題について古くから研究蓄積のあるフランス法を参照し、理論モデルの提示を試みた。これにより、経過規定の立法実務や、これを解釈・適用する司法の場において、新法を適用すべきか否かの問題について、個々の事情に応じてケース・バイ・ケースで検討するだけでなく、法理論的な観点から体系的に検討することが可能になる。こうした点に、本研究には立法論や解釈論上の意義があると考えられる。
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