研究課題/領域番号 |
17K13605
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
御幸 聖樹 同志社大学, 司法研究科, 教授 (20634009)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 司法権 |
研究実績の概要 |
本研究の関連分野について論文を発表した。
まず、御幸聖樹「普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止処分等を司法審査の対象とした事例」新・判例解説Watch Web版[2021/2/5]である。本研究は司法権という概念が紛争の観念的解決を図ることに尽きるのか(訴訟手続)、それとも当事者の権利義務・法的地位が事実上実現されることまでをも含んでいるのか(執行手続)を整理・分析するものである。そのため、本研究の核心は司法権という概念についての理論的な検討であるところ、従来の判例法理である部分社会の法理を変容させた近時の最高裁判例について分析を行った。この判例自体は本研究の直接の対象というわけではないが、今後の事案の推移によっては本研究にも直接関わるものになりうる。
次に、御幸聖樹「法律事項」山本龍彦・横大道聡編『憲法学の現在地』(日本評論社)337-348頁である。この論文はあくまで立法権に関わるものではあるが、司法権の役割として仮に紛争の観念的解決を図ることに尽きると考えるとした場合であっても、なお立法権が権利義務・法的地位の実現を図ることができるのではないかという、本研究との関係では予備的な考察を行うものである。特に、個別法律(「措置法」や「処分的法律」とも言われる。)という制度は、司法権による権利義務・法的地位の実現が困難な場合であってもなおそのような実現を可能にする制度であり、その利用可能性について判例・学説を改めて整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述した研究業績は本研究の周辺事項であり、本研究自体の進捗状況としては遅れていると自己評価せざるを得ない。ただ、令和2年度は新型コロナウイルスの感染拡大による研究環境に対する大きな影響があったことや、そもそも本研究に関する文献が少ないことにも鑑みると、やむを得ない面もあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究について、周辺部分も含めて一定程度の知見は得られている。後は、それらを相互に結びつけながら説明を行うことのできる理論を構築し、論文として発表することに尽きる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、研究環境が整っておらず研究が滞った。次年度については、新型コロナウイルスの感染状況が収束するような状況になれば当初の研究計画通り現地にて文献収集等を行うことも考えている。ただし、そのような状況が到来しないようであれば、書籍等の購入に充てる。
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