研究課題/領域番号 |
17K13608
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西山 千絵 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (20633506)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 政教分離原則 / 信教の自由 / 比較憲法研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、多文化共生社会への関心から、海外からの移住者の宗教実践とそこで生じる社会的課題に焦点を当て、一方では政教分離原則との観点から、一方ではジェンダー平等の観点から、いかなる配慮といかなる制限がありうるか、具体的に海外における政教分離原則との比較対象を織り込んで検討することを目的としてスタートした。研究4年目である2020年度は、①海外の政策状況を把握しながら、在留外国人集住地域などで調査を行うこと、②文献調査を継続して実施することで、具体的な問題点の発見を多角的かつ実証的に解明することを研究目的とした。 まず、目的①にかかる研究遂行のためとして、各都道府県の在留外国人集住地域での実際的問題を把握するべく、資料上の調査を行った。実地調査地域を絞って、令和3年度の調査につなげたい。 目的②の文献的調査に関しては、十分に進めることができなかったものの、これまでの検討内容を集約することはできている。実地調査は実施できなかったものの、研究会に出席して、法的な観点を交えた意見交換を行った。また、2件本科研費に関連づけられうる論考の報告を行った。上記の研究報告・研究会報告で得られた知見・意見を踏まえながら、今後の最終的な成果報告に向けての準備を整えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響により実地調査の実施等は不可能であったことから、研究課題の遂行に大幅な遅れが生じている状況である。 まず実地調査においては、わが国の外国人集住地域における問題状況を把握するために、一定の地域にての具体的調査を必要と考えていたたが、現今の感染拡大状況によりネット上で取得できる資料等による情報収集に留まることとなった。文献的調査をかろうじて進めた状況で、意見交換をオンラインでの研究会も含めて、集約がないわけではないため、これらを踏まえて2021年度の最終的な研究報告(まとめ)につなげていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の再延長が認められたことを踏まえて、以下のように研究を遂行していくことにする。 令和2年度の研究結果をもとに、わが国の実際的な問題を通じて研究をより具体的に展開する。実地調査に向けて、ウェブ上の情報収集結果を踏まえて、調査地域を絞っていく。また、インタビューを踏まえながら、移住者の宗教活動について、自治体の問題と従来の判例等に照らした新規性を検討する。また、政教分離原則、信教の自由の保障に関する条文上の比較結果をもとに、最終年度のまとめに向けて、わが国おける多文化共生社会の実現に向けた総合的な分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由としては、本年度においてはコロナ禍により出張研究を十分に行ったり、沖縄県外の研究者を招聘して意見交換をすることができなかったので、予定していた旅費は十分に使用できず、それにより人件費・謝金なども発生しなかったことが挙げられる。研究調査用の設備備品等は既に整備済みであったため支出が無かったことも一因となっている。次年度以降は使用できなかった分も含めて、2021年度に調査活動が再開できるのであれば、国内外の調査による旅費とインタビュー等による人件費・謝金などの支出が増えることと予想されることから、未使用額を充てながら研究を遂行したい。
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