研究実績の概要 |
本研究では、国際法の大前提たる合意原則がどこまで貫徹されるべきであるのかという問題について、主として20世紀前半までに国家間法として形成された慣習国際法における諸規則が、現代グローバル法秩序においてどのように適用されるのかという観点から検討を行っている。平成31年度(令和元年度)は、日本国内の研究会や報告会に参加しつつ、論考として発表する、あるいは発表するための準備作業を行った。 第一に、内国民待遇原則に着目して、WTOを中心とする国際貿易に関する法秩序と、近年では投資協定仲裁が大きな比重を占める国際投資の法秩序において、規範内容に差異があるのかという問題について論考をまとめ『フィナンシャルレビュー』令和元年(2019年)第5号(通巻第140号)にて公表した。 第二に、そもそも投資協定仲裁が出現したのはなぜなのか、という問題について国際関係論的な見地から検討したTaylor St John著「The rise of investor-state arbitration: politics, law and unintended consequences (Oxford University Press, 2018, viii+279 pp.) 」の文献紹介を、『国際経済法学会年報』第28巻に公表した。 第三に、現在の国際投資法の基礎となる外交的保護という慣習国際法制度における国籍決定に関する規則について論考をまとめ、坂元茂樹先生および薬師寺公夫先生の古稀記念論文集に寄稿し、校正を待つ段階である。
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