研究実績の概要 |
本研究では、国際法の大前提たる合意原則がどこまで貫徹されるべきであるのかという問題について、主として20世紀前半までに国家間法として形成された慣習国際法における諸規則が、現代グローバル法秩序においてどのように適用されるのかという観点から検討を行っている。令和2年度は、コロナ禍の影響で突如として多くの学会の研究大会や研究会が中止になったため、論文の執筆・校正作業を中心に行った。 第一に、『フィナンシャルレビュー』令和元年(2019年)第5号(通巻第140号)にて公表した論文をもとにした英語論文をPublic Policy Review, Vol. 16, No. 5 (2020)に公表した。 第二に、現在の国際投資法の基礎となる外交的保護という慣習国際法制度における国籍決定に関する規則について論考をまとめ、坂元茂樹先生および薬師寺公夫先生の古稀記念論文集に寄稿した。 第三に、投資家の国際慣習法形成における役割に関する論文が掲載された論文集『International Organizations, Non-State Actors, and the Formation of Customary International Law, Melland Schill Perspectives on International Law (Manchester University Press, 2020)』が刊行された。 また、2021年秋頃に刊行予定の『国際法判例百選(第3版)』(有斐閣)に、ノッテボーム事件の判例評釈を寄稿し、オンライン開催された京都国際法研究会で、投資協定仲裁に対する不信感の高まりから、代替案として検討されている国家間仲裁の可能性を検討したAngshuman Hazarika氏の著作の紹介を行った。
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