研究課題/領域番号 |
17K13617
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
山下 朋子 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20781397)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 国際法 / 国際投資法 / 外交的保護 |
研究実績の概要 |
本研究では、国際法の発展によってもたらされた新しい秩序(現代グローバル法秩序)と、それが生まれる以前から存在する慣習国際法としての国家責任法とが、実際の紛争処理における法適用の場面においてどのように接合しうるのかという観点から検証を行っている。20世紀後半より、国際(inter-national)では対処しきれない地球規模(global)の問題が人権、環境、経済などの諸分野において新規性をもって発生し、それに伴う国家利益も多様化する中で、これらの新たな法分野において様々な条約が締結された。この私人(個人、企業、NGO)や国際機構など国家以外の主体が、国家やその他の主体と多層的かつ複雑に相互に作用しあうトランスナショナル(trans-national)な法秩序において、20世紀前半までに国家間法として発展してきた古典的な国際公法がどのように適用され、あるいは修正され、変貌を遂げるのかという問題について、本研究では海外直接投資にかかわる国際法の観点から検討を行っている。この分野の国際法は、欧米列強による外交的保護が主流であった20世紀前半、新興国の独立によって既存の国際法秩序が否定され、新たな法秩序の形成が盛んになった20世紀後半、投資家対国家の間での紛争解決が主流となった21世紀の間に大きな断絶がある。これまでは主に、外交的保護という非常に古典的な国家間関係法において形成された規則が、現代主流となっている投資家対国家の間の紛争解決(投資協定仲裁)において、どのような修正を受けているのかを主な題材としながら、研究を進めてきた。 令和3年度は前年に引き続き、コロナ禍の影響で海外渡航ができなかったが、多くの学会や研究会がオンラインにて開催されるようになったため、これらへ参加することで研究主題についての知見を深めた。作業としては、書評の執筆と書籍の出版準備作業を中心に行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍に伴う所属大学内での学内行政負担の劇的な増大、教務主任としての職責や、オンライン講義への対応に加え、1歳児の育児負担と保育園の度重なる休園により、ほとんど研究時間を確保することができなかった。依頼された原稿を期限通り仕上げるだけで精一杯であった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度には、バイアウト制度の利用により研究時間のさらなる確保が見込まれるので、これまでの研究の成果をまとめ、研究成果の集大成となる書籍の出版へ向けた準備をすすめたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に開催された学会や研究会はオンライン開催であったこと、海外渡航が依然として不可能であったことから、予定していた旅費の支出が不要となった。また、バイアウト制度による非常勤委嘱も、大学の方針で授業がオンライン実施となったことで、予定していた旅費を支払わずに済んだ。以上の理由から残金が生じた。 令和4年度も、海外渡航が可能であるかは不明であるため、この分はバイアウト制度による非常勤委嘱に使用したいと考えている。また、国内の学会や研究会は対面化が進みつつあることから国内旅費としての使用や、書籍の購入、文献取り寄せ費用などとして使用する予定である。
|