研究実績の概要 |
国際立憲主義が海洋法に与える研究として、論文の出版及び学会報告等を行った。例えば、“The Legitimacy of the International Seabed Authority and the Way it Accepts the Involvement of Non-State Actors in Governing the Area” Transforming the Ocean Law by Requirement of the Marine Environment Conservation, (2019) pp. 329-342 は、これまで国際立憲主義の観点から焦点を当てられることなかった国際機構であるISAの正統性について、非国家アクターとの関係の分析を通じ検討した。また、「海上テロリズムに対する国際条約と日本法制:海洋構築物に対する規制を中心に」『早稲田大学社会安全政策研究所紀要』10巻(2019年)49-71頁、では、法の支配への暴力的抵抗たるテロリズムに対し、現行海洋法がどの程度効果的に対応できているかについて、海洋構築物に焦点をあてて検討した。 また、報告としては、第3回東アジア国際法フォーラムにおいて行った「海洋における生物多様性問題」は、日中間が海洋問題、特に、現在国連において進行中の国家管轄権外区域の生物多様性の保全及び持続可能な利用についての新条約の交渉において、いかに協力関係を築くことができるかについて報告した。報告後の議論においては、中国の研究者より、中国も国連において、途上国と足並みをそろえるだけでなく、先進国としての主張をした方が自国の利益になる、といった声も聞かれ、相互理解が深まった。その他、国際法協会の会合において、“Criminalization of IUU fishing in the Pacific”と題する報告や、比中仲裁からの2周年を記念してフィリピンにおいて開催されたThe South China Sea Arbitration Award 12 July 2016: Promoting a Rules-Based International Systemにおいて、“The Way to Promote the Effectivity of the Dispute Settlement System under the UNCLOS”と題する報告を行った。
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