有罪が認められるためにはその犯罪の故意を行為者が有していることが必要であるため、裁判では「行為者の認識していた事情から犯罪事実の認識・認容があったと認められるか」が争点となりうる。「故意を肯定するために行為者が認識すべき事実は何か」ということを明らかにするために、近時の日本の最高裁判例を検討したところ、「行為者が認識すべき事実」の1つである「結果発生の危険性の程度の認識」が「認容」という事情の要否に関わるのではないか、という仮説に至った。この検証として、日本の判例とドイツ判例を分析し、認容という要素にどのような意義があるのか、また裁判においてはどのように検討・推認されるべきなのかを研究した。
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