本研究では、適正手続の保障や権利保護といった観点から違法収集証拠排除法則を改めて捉え直すことで、証拠排除の要件を整理した。 すなわち、最高裁昭和53年判決のいう「令状主義の精神を没却するような重大な違法」とは、利益衡量の要素をいれない、違法ないし権利侵害の実質が明らかとなるものでなければならず(絶対的評価)、裁判においては、違法の程度まで含めて、違法の宣言をしつつ、証拠排除の要件の一つを示すことになる。そして、「将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる」とは、証拠排除に関わる利益を衡量し、証拠の排除を判断していくための基準とみることになる(相対的評価)。
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