振り込め詐欺や悪徳商法に代表される「特殊詐欺」が社会問題と化して久しいが、その発生件数は増加する一方である。さらに、特殊詐欺の類型は、集団によって計画的かつ組織的に実行されることが多いとの傾向が明らかになっていることから、実行行為を遂行した者だけでなくその背後で犯罪を計画し指示した組織までも含めた事案の解明が求められ、組織的な犯罪の一類型としての対処がなされるようになってきている。そこで、これらの事案において、加重処罰規定である組織的詐欺罪の適用が可能であるか、また適切であるかについて、規定の成り立ちや判例・裁判例の状況を踏まえ、比較法の観点も取り入れながら検討して、今後の方向性を示した。
|