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2019 年度 実績報告書

処罰の早期化の国際的潮流に対応した刑事立法の基礎原理に関する比較法的・統合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K13639
研究機関早稲田大学

研究代表者

仲道 祐樹  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80515255)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード刑事立法論 / 刑法の基礎理論 / 処罰の早期化 / 比較刑法 / 刑事立法学 / 犯罪化論
研究実績の概要

本研究課題は、「理論的かつ実践的な刑事立法論」の構築をめざして、1) 大陸法圏、コモンロー圏にまたがる刑事立法論の到達点を明らかにすること、2) ドイツとイギリスの刑罰制度・制裁制度を総体として分析することを通じて、刑罰が犯罪予防において果たすべき役割およびその他の制裁との本質的な差異を示すこと、3) 以上の調査結果を統合して、普遍的な刑事立法の基礎原理を提示することを目的として開始した。2018年度に研究が大幅に進展したことにより、本研究課題の中核的成果である「刑事立法分析の2段階構造」を提示することができた。
最終年度にあたる2019年度は、その精緻化に向けて、a) 日本のテロ等準備罪を素材として「刑事立法分析の2段階構造」の実践的適用可能性を提示することを前半の課題とした(上記2)および3)に対応)。その作業においては、テロ等準備罪の新設という〈犯罪化〉の手法が、他の行政的予防手段(包括的な監視など)に比して権利制約的かという観点から分析を加えた。その結果、理論的帰結としてドイツ法の知見から、刑罰は最も峻厳な制裁であるとしてその権利制約効果を他の制裁よりも高く見積もる伝統的な思考を排斥し、権利制約の程度によっては行政的予防手段の投入が可能であっても犯罪化が許容される場面があることを示し、そこからテロ等準備罪の新設は、刑事立法分析の2段階構造によっても、改善の余地はあるものの許容されることを示した。
また、イギリス法調査の過程で、イギリスの性犯罪規制をめぐって、犯罪化と非刑罰的制裁の交錯領域と呼びうる規制手法が存在することを発見した。そこで、イギリス性犯罪法および性犯罪予防に関する刑罰以外の制裁の役割に関する研究を実施した(上記2)に対応)。日本でも判例上争点となった性犯罪の様子を記録した画像等の取扱いにつき、イギリス法の関連制度を横断的に分析し、その全体像を析出した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 法益論・危害原理・憲法判断――刑事立法の分析枠組に関する比較法的考察2019

    • 著者名/発表者名
      仲道祐樹
    • 雑誌名

      比較法学

      巻: 53巻1号 ページ: 25-70

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Handlung und Schuld der juristischen Person -Ueberlegungen zum Verbandsstrafrecht2019

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nakamichi
    • 雑誌名

      Zeitschrift fuer Internationale Strafrechtsdogmatik

      巻: 10/2019 ページ: 487-493

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 刑事立法分析の2段階構造とテロ等準備罪2019

    • 著者名/発表者名
      仲道祐樹
    • 学会等名
      日本刑法学会第97回大会(ワークショップ)
  • [図書] 日常のなかの〈自由と安全〉(仲道祐樹「刑事立法分析の2段階構造とテロ等準備罪」を掲載)2020

    • 著者名/発表者名
      小山 剛、新井 誠、横大道 聡(編)
    • 総ページ数
      450
    • 出版者
      弘文堂
    • ISBN
      978-4-335-35832-6

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公開日: 2021-01-27  

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