本研究は、証券市場における開示規制の正当化根拠として、投資家への投資判断の材料を提供する手段という従来の位置付けだけではなく、行為規制の実現手段という新たな位置づけを与えるべきことを提唱し、そのメカニズムを解明することを目的とする。本研究は、非財務情報の開示規制を対象に、虚偽記載の民事責任を基礎とする財務情報の開示規制との違いに注目し、その役割と限界を検証した。開示規制は、企業の行動に対して、絶大的な影響力を持つことは明らかにされる一方、投資者保護の角度から、非財務情報の有効利用と開示される非財務情報の信憑性の確保を目的とするハートローまたはソフトロー上の保障は不十分であることを指摘した。
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