第一に、本研究のように、日本においては責任財産概念を正面から検討対象としている研究は少なく、その分割・移転可能性といった視点に立っているものはほとんど存在しない。このため、本研究は責任財産の分割や移転の可能性を検討するための素材を提供することを目的とするという点で、独自性を有する。 第二に、パトリモワヌ概念を扱った先行研究は存在するが、これらにおいては、議論の概括的な紹介にとどまっており、また、2000年以降の議論にはほとんど触れられていない。本研究は、現在に至るまでのフランスにおけるパトリモワヌ概念をめぐる議論を、分割・移転可能性という対立軸に沿って分析するものである点でも、独自性を有する。
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