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2018 年度 実施状況報告書

事務処理債務の構造における本人の意思

研究課題

研究課題/領域番号 17K13652
研究機関上智大学

研究代表者

大塚 智見  上智大学, 法学部, 准教授 (20707509)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード委任の本旨 / 委任者の指図 / 任意解除権 / 死後事務委任
研究実績の概要

平成30年度には、委任者の意思につき理論面および実務面双方から研究を深めた。それによって、「意思」という概念を用いて、従来の委任に関する議論を再検討する方向性を見出した。
第一に、「委任者の指図」および「委任の本旨」につき検討し、「委任者の指図と受任者の権限(1~3・完)」法学協会雑誌134巻10号1851頁、11号2115頁、12号2367頁として公表した研究をさらに整理することを試みた。これにより、前掲論文で提示したもののある程度曖昧さを残していた概念を、より明確にすることができた。この成果は、日本私法学会にて「委任者の意思と受任者の権限」と題して報告した。平成31年度に公表される予定である。
第二に、問屋や訴訟委任、死後事務委任をはじめとして、個別の委任類型についての考察を行った。特に、死後事務委任の研究においては、委任者の契約締結時の意思と事後的な意思が、被相続人と相続人という二つの異なる主体を有することによって、通常の委任とは異なった問題領域を形成していることを確認した。この問題は、相続人による死後事務委任の解除可能性として解釈論上現れることとなり、実務上は、死後事務委任の契約締結時に解除権放棄特約を設けることによって対処される。したがって、委任者による任意解除権放棄特約の効力に関する議論を検討する必要があり、さらに、被相続人が死後の財産処分をどこまで決定することができるのかという相続法の議論も参照しなければならない。このうように広い範囲の検討を要するゆえ、成果としての論文を公表するには至らなかったものの、委任法にとどまらず、契約法や相続法にも及ぶ考察を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでの成果を整理することによって、委任者の意思という本研究のテーマが委任論全体の中でどのような位置を与えられるのかを検討することができた。さらに、死後事務委任をはじめとした個別類型の検討を通して、委任の一般理論の意義を再考することができた。これらによって、これまで行ってきた「委任の本旨」および「委任者の指図」というどちらかというと小さなテーマが、委任の一般理論や個別事件の解決において持つ意義を明らかにすることができたものと考えられ、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

最終年度である平成31年度には、委任論全体を委任者の意思から再検討する。特に、委任論の中でも従来から議論の蓄積のあり、また、民法改正によって新たな解釈論が必要となった任意解除権につき研究する。任意解除権は、死後事務委任の中でも重要な論点となる。

次年度使用額が生じた理由

年度内に刊行される書籍の購入のために残していたが刊行されなかった。書籍購入に充てる予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 委任者の意思と受任者の権限2018

    • 著者名/発表者名
      大塚智見
    • 学会等名
      日本私法学会

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公開日: 2019-12-27  

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