本研究の学術的意義としては、アメリカの非良心性法理に関して判例等の情報を増やしアップ・デートしたこと、非良心性法理には、いわゆる交渉力不均衡法理としての存在意義・機能があることを明示したこと、上記の交渉力不均衡法理または概念についてアメリカ法の議論(契約法を中心とする分野における)を網羅的に収集・整理したこと、その結果バーゲニング・パワー (bargaining power) が我が国でいうところの「交渉力」よりも多義的な概念であることを示唆し、バーゲニング・パワーの定義の分類を試み、今後、我が国の交渉力概念を考察する際に、上記の分類が役立つのではないかという点を示唆した点等が挙げられる。
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