本研究では、著作権法15条1項をもっぱら〈職務著作〉制度と捉える従来の理解に再考を迫り、《団体名義著作》と〈職務著作〉という2つの視点からわが国の制度を捉える必要があることを明らかにした。そして、15条1項の要件・効果のうち、《団体名義著作》を基礎とするものについては1887年出版条例・版権条例およびオランダ1912年法を、〈職務著作〉を基礎とするものについてはイギリス1911年法をそれぞれ参照することで、起草過程に適合的な制度像を提示した。その上で、こうした研究成果をもとに、15条1項の要件・効果をめぐる解釈上の問題について再検討を行い、その成果の一部を論文としてまとめ公表した。
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