研究課題/領域番号 |
17K13672
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山本 圭 立命館大学, 法学部, 准教授 (90720798)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ポスト基礎付け主義 / 民主主義 / ポピュリズム / ラディカル・デモクラシー / アゴニズム |
研究実績の概要 |
本年度は、これまで得られた成果をもとに単著『アンタゴニズムスーーポピュリズム〈以後〉の民主主義』(共和国)を刊行した。本書は、ラディカル・デモクラシー論の最前線の研究動向を踏まえつつ、本邦の民主主義論をアップデートすることを目的としたものである。このかんラディカル・デモクラシーの議論も大きく、様々なしかたで展開してきた。にもかかわらず、ラディカル・デモクラシーはいわゆる「参加民主主義」とほとんど同一視され、その理論的な特異性と幅広さはほとんど明らかにされていないのが現状であった。本書が着目する論点は、おもに以下の三つである。 (1)「現代民主主義論の展開」――――民主主義論における「アゴニズム」の意義、情動や感情の位置付け、公共性との関連など、いわゆる「参加民主主義」にはおさまらない、ラディカル・デモクラシーの多様な理論的展開を多角的に明らかにする。 (2)「マルクス主義のあとで」――――ラクラウとムフの立場は、ときに「ポスト・マルクス主義」とも呼ばれてきた。この立場がマルクス主義の何を批判し、何を継承しているのかを明確にすることで、昨今あらためて注目を集めているマルクスの思想との関連を明らかにする。さらに、ポスト・マルクス主義とラカン派精神分析との新しい関係を示すことで、民主主義論における精神分析論の意義をも提示することができる。 (3)「ポピュリズム」――――昨今、欧米におけるポピュリズムの台頭をうけ、ポピュリズム研究が盛んになっている。しかし、本邦では、アカデミア内外ポピュリズム=「大衆迎合主義」といった図式化が、いまだ強固な偏見となってしまっている。本書は昨今の研究動向をふまえ、ポピュリズムと民主主義との関係を明らかにする。さらに、左派ポピュリズムの問題点を明らかにし、それに代わるラディカル・デモクラシーの可能性としてアゴニズムの理論を再定式化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究成果を出せている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は渡英を予定し、国際的な研究プロジェクトに参加する予定であったが、コロナウイルスのために大幅な研究計画の変更を余儀なくされている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により、大幅な研究計画が必要になったため。準備と状況が整い次第、渡英し、書籍費や出張費として使用する予定。
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