本研究の目的は、サービス経済化・価値観の変容・脱国民国家化およびその反動によって政治的対立軸がどのように変化し、その変化が福祉国家のあり方にどのような影響を与えてきたのかを探ることにあった。本課題の遂行により、以下の2点の研究成果を得た。第一は、職業威信で見た職業階層の上下が、社会経済的次元よりもむしろ社会文化的次元における選好に結びついており、それがポピュリスト急進右翼政党支持の有無を規定しているが分かった。第二に、積極的労働市場政策は、政権政党の再分配をめぐる社会経済的次元ではなく、文化的イシューをめぐる社会文化的次元における政策位置により強く影響されていることを明らかにした。
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