研究課題/領域番号 |
17K13675
|
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 政治的景気循環 / 地方政府 / 選挙 / 党派性 / 財政政策 / 政治的予算循環 / 中央地方関係 / 政治経済学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の地方レベルで政治的景気循環が生じていたのかを、都道府県レベルのデータを分析し、明らかにすることである。 この目的を達成するため、平成29年度は、データーセットの作成、統計分析、国際学会での研究発表を中心に進めた。最初に、都道府県レベルで政治的景気循環が生じているのかを検証するため、従属変数として1人当たりの公共投資額、説明変数として知事選挙の年度および前年度のダミー変数のデーターセットを作成し、2元配置の固定効果法(都道府県と年度の効果を加えた推定方法)によって統計分析を行った。分析の結果、統計的に有意な結果は得られなかった。次に、都道府県レベルで党派的景気循環が生じているのかを検証するため、知事の党派性と知事選挙の年度および前年度のダミー変数の交互作用項を加えた分析を行った。分析の結果、自民党支持かつ社会党、共産党、民主党など国政の野党が支持していない知事と、選挙前年度の交互作用項が統計的に有意な結果であった。つまり、都道府県レベルで知事による政治的景気循環は行われていないが、国政の政権党との関係によって政治的景気循環が生じることが示された。以上の結果をまとめて、2017年9月に開催されたEuropean Consortium for Political Research 2017 General Conferenceで研究発表を行った。 また、この研究の分析対象は地方レベルの政治的景気循環であるが、国政レベルの政治的景気循環との比較も重要である。そこで、金融政策と国政選挙のデータを分析し、1997年の日本銀行法改正以前において、政治的景気循環が生じていたことを解明した。それをまとめて2017年5月に日本選挙学会で研究発表を行った。加えて、国政レベルのマクロ経済政策の事例をまとめたものの一部を『政策過程論』(共著)として2018年3月に出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画どおりに研究計画を進めることができている。研究実績の概要で記載したとおり、データーセットの作成、統計分析、国際学会での研究発表が既に完了している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、2回学会での研究発表と、英文ジャーナルへの投稿を行う。学会での研究発表については、7月にThe 25th World Congress of Political Science organized by the International Political Science Association、10月に2018年度日本政治学会・研究大会で報告することが決定している。両方の学会発表で得たアドバイスや意見交換した内容をもとに研究内容をブラッシュアップする。そして、その内容をまとめ、World PoliticsやComparative Political Studiesなどの比較政治、あるいはElectoral Studiesなどの選挙研究の英文ジャーナルに投稿する。 また、可能であれば、比較の対象として進めている国政レベルの政治的景気循環に関する研究をまとめ、英文ジャーナルへの投稿を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、数回の研究発表と、それにともなう英文校正費用を計上していたが、1回の研究発表しかできなかったため次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、平成30年度に2回の研究発表を行うための費用と、英文ジャーナルに投稿するための英文校正費用として使用したい。
|