研究課題/領域番号 |
17K13681
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
溝口 修平 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (20648894)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロシア / 権威主義体制 |
研究実績の概要 |
ウクライナ危機を通じて、ロシアの権威主義体制にどのような変化が生じたのかを検討するために、今年度はまず制度的な面からアプローチを行った。第一にロシアで憲法改正をめぐる政治がどのように展開したかを検討した。1993年の憲法制定以降、ロシアでは長らく憲法改正は政治を不安定化するものとして回避されてきたが、近年むしろ政治の「安定化」を唱って憲法改正が実施されている。このような正当化のロジックが逆転したことを、Association for Slavic, East European & Eurasian Studiesなどで報告した。 第二に、大統領と議会の関係がいかに変化したのかについても検討した。2000年代以降の大統領と議会の「緊密な協力」関係は、2000年代後半から変化が生じている。かつては大統領令は議会立法が成立しない際にそれを「代替」するものとして機能していたが、近年は議会立法数の増加と大統領令の増加が同時に生じており、両者の間に「補完」関係が生まれている。このことを日本比較政治学会などで報告し、2018年度中に出版予定の編著の中で論文としてまとめた。 以上のことから、ロシアの権威主義体制の変化は2000年代後半から徐々に進行しており、その傾向はウクライナ危機後も継続していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、体制側の統治のあり方を様々な面から検討した結果、かなりの成果が得られた。その一方で、当初の計画では体制側の統治のあり方の変容とともに、反体制派の動向についても検討を加える予定であったが、この点は十分に進められなかった。また、国際学会で報告した論文も、改訂の上査読誌に投稿するところにまでは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)憲法改正をめぐる政治について、他国との比較も視野に入れつつ、学会報告論文を改訂し、英文査読誌に投稿する。
(2)ロシアの権威主義体制を維持するために、体制がいかなる方策をとったのか。特に、議会選挙や大統領選挙における地方ごとの得票率の違いに注目しながら、この体制がいかなる形で維持されているのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に参加した国際学会の渡航費について本務校から補助を得られたため、翌年度分に一部金額を回すことになった。次年度のフィールドワークの際に、渡航費や資料収集費として活用する予定である。
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