研究課題/領域番号 |
17K13681
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
溝口 修平 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (20648894)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロシア / 愛国主義 / 権威主義体制 / 選挙 |
研究実績の概要 |
本研究は、2014年のウクライナ危機以降、ロシアの権威主義体制にいかなる変化が生じているかを明らかにしようというものである。この研究目的に関して、本年度は2つの点からアプローチした。 第一に、 現在の政治情勢を選挙の分析を通じて明らかにした。2018年の1年間はロシアで興味深い現象が起きた。すなわち、3月の大統領選挙では、事前の予想通り現職大統領のプーチンが圧勝したのに対し、9月の統一地方選挙では与党が苦戦する例が相次ぎ、時に敗北を喫した。そこで、このような相反する選挙結果が生じた要因を考察することによって、現在のプーチン体制が社会のどのような層に支えられているのかを検討した。その結果、経済状況の悪化や年金改革問題が与党統一ロシアの得票率の低下を招いていること、そして、それにもかかわらず、都市部の中間層がプーチン政権の支持基盤となっているために、大統領選挙でプーチンは圧勝したことを明らかにした。以上の点を研究会やシンポジウムで報告し、論文としてまとめた。この点は最終年度となる次年度に、さらに考察を深めていく予定である。 第二に、昨年度から引き続く課題として制度面でのロシアの変化を考察するために、旧ソ連諸国の憲法改正に関する比較研究を行った。これは、権威主義体制において指導者はどのような時にいかにして政治制度を操作するのか、またどのような場合には政治制度に拘束されるのかという問題を明らかにしようという試みである。この点は、次年度に学会発表を行い、論文にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、本研究は社会の変化と制度面の変化という2つの観点から進めているが、どちらも順調に成果が出ている。特に、プーチン体制の支持基盤の変化を今年度明らかにすることができたので、それがいつ頃からいかなる要因で起こったのかを今後検討することで、本研究における課題を達成することができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、以下のように研究を進める予定である。第一に、「中間層」の政治的志向性の変化について、先行研究を再度確認しつつ、現地での調査や世論調査を利用することによって明らかにしていく。第二に、憲法改正をめぐる政治について、ロシアにおける意義を考察するだけでなく、比較研究をすることによって理論的にも示唆のある形で論文としてまとめていく予定である。
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