研究課題/領域番号 |
17K13689
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
冨樫 あゆみ 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 講師 (50783966)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 冷戦期日韓安全保障関係 / 安全保障 / 新古典的現実主義 |
研究実績の概要 |
本研究の3年目となる平成31年度(令和元年度)は、昨年度取り組んだ資料分析に加え、理論研究を中心に研究した。資料分析は、冷戦期と脱冷戦期に分けて行った。前者に関しては、主に(1)1970年代日本の対韓重化学工業支援、(2)1982年の日本の対韓円借款を中心に行った。後者に関しては、今日の日韓安全保障協力についてアップデートする形式で分析を行った。 理論研究は、新古典的現実主義の先行研究を整理し、新現実主義との差異を明らかにした。資料分析に関しては、①当時の政治指導者の脅威認識と、対韓重化学工業支援や日本の対韓円借款の可否をめぐる国内議論に関して、②今日展開されている「自由で開かれたインド太平洋構想」における日韓安全保障協力の現状に関して、国会議事録や政府刊行資料を中心として探った。理論研究に関しては、新古典的現実主義および新現実主義が、「構造的要因」をどのように捉えているのかを中心として分析を行い、資料研究との関連を元に、新古典的現実主義に対して批判的検討を行った。 また、これらの研究を元に、冷戦期の研究については、2019年国際安全保障学会年年次研究大会において、「冷戦期日韓安全保障関係における構造的要因―新古典現実主義に対する批判的検討」という題目で、脱冷戦期については、2019年国立ソウル大学校World Leading University Programにて「インド太平洋戦略と日本、そして韓国(韓国語)」という題目で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は資料研究と理論研究、および冷戦期と脱冷戦期の2つの時期における日韓安全保障協力の現状、および新古典的現実主義に対する批判的検討を加え、それぞれについて学会発表を行い、昨年度までの遅れをほぼ取り戻しつつある。昨年、実施することが出来なかった韓国研究者と日本の研究者との研究会について、研究会という形で開催することは出来なかったが、代表者が韓国人研究者との意見交換を行う形で補うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる今年度は、昨年度の学会報告を基盤として、本研究の研究成果を論文として発表することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に旅費について計上予算を執行できなかったためである。昨年度と同様に、韓国における研究発表では、先方の学会が旅費(往復航空券、宿泊費)を負担したためである。その他、所属機関が変更となり使用規則が変更となったことも理由として挙げられる。
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