最終年度である今年度は、研究成果として論文の執筆に従事した。研究成果は、「脅威均衡戦略としての日韓・日米韓安全保障協力:脅威均衡同盟説からの考察」『現代韓国朝鮮研究』第23号、2023、として論文掲載された。 本課題は、理論研究と実証研究に分けて遂行した。実証研究では、冷戦期とポスト冷戦期に時代を区分して研究を遂行した。日韓間では直接的な安全保障協力が見られない冷戦期は、主に先行研究を批判的に検証した。ポスト冷戦期では、研究計画書に記載した通り、安全保障協力としての成果、日本および韓国の外交安全保障政策をまとめ、分析視点として外的環境の変化、政治指導者の認識を中心に資料整理および研究を行った。 理論研究では、主に新現実主義の立場から同盟形成を説明する諸理論から、日韓安全保障協力の形成をどのように説明できるかを中心に検討した。また、特に韓国の外交安全保障政策の変遷を、指導者の政治イデオロギーを媒介変数として設定し、新古典現実主義の分析枠組みを用いて検討した。その結果、本研究課題においては新古典現実主義の分析枠組みを用いて韓国の外交安全保障政策を十分に説明することは難しいと判断した。 これまでの研究から、「日韓の安全保障協力を国際関係理論によってどのように説明できるか」という本研究課題の問いおよび目的に対しては、日韓安全保障協力の形成は脅威均衡理論を修正することによって説明可能であるとの結論に達した。
|