従来の国際政治学では、パワーが大きくなればなるほどその国は武力の脅しを伴う強制的な外交を使用しやすくなると考えられてきた。しかし、この考えは「強制外交」か「何もしない」かの単純な二択を前提とする。本研究は「非強制的な外交」を既存の二択に加えた上でパワーと強制外交の関係を分析する。強制外交の使用によって他国からの信頼が損なわれる危険性があり、この評判の毀損を回避するために非強制的な外交が使われ、そしてこの外交戦略の代替性は特に強大国が弱小国に対して強制外交を使用する確率を低下させることをゲーム理論を使い示した。武力の脅し、経済援助、武器移転のデータを統計分析することでその仮説の妥当性を確認した。
|