研究課題
本研究は、時間を通じて資源配分がおこなわれる動学的な資源配分問題を考え、ゲーム理論・メカニズムデザイン理論の枠組みを用いて望ましい取引メカニズムの分析と設計を行うものである。本研究全体の主要な成果として、以下の3点が挙げられる。第1の成果として、制度設計者が二択質問を繰り返しながら、経済主体の持つ私的情報を逐次的に、正しく収集できるようなメカニズム(取引制度)について分析した。現実でよく用いられている「競り上げ式オークション」を効率性とインセンティブ条件によって公理的に特徴づけた。この研究成果は社会的選択、メカニズムデザイン分野で評価の高いジャーナルであるSocial Choice and Welfareに掲載された(令和2年度)。第2の成果として、売り手が時間を通じて繰り返し財(時間スロット)を配分し、買い手は財の価値と時間選好に関して2次元の私的情報がある状況における最適な取引制度設計について導出した。この研究成果はゲーム理論分野のトップジャーナルであるGames and Economic Behaviorに掲載された(令和3年度)。第3の成果として、免許や企業・事業買収のように、財の価値が事後投資によって内生的に決定され、かつ入札者が予算制約や資金調達費用に直面している状況におけるオークション設計を分析した。財の価値が投資の一次関数であるとき、売り手の期待収入と平均投資量について、様々なオークションルールの間で同値定理が成り立つことを理論的に示した。この研究成果は理論経済学分野のトップジャーナルであるJournal of Economic Theoryに掲載された(令和5年度)。
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Journal of Economic Theory
巻: 213 ページ: 105742~105742
10.1016/j.jet.2023.105742
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