研究課題/領域番号 |
17K13700
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 修平 京都大学, 経済研究所, 准教授 (60645406)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 名目賃金 / 状態依存型賃金設定 / ニューケインジアンモデル / 労働時間 / 借入制約 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、経済状態が名目賃金の調整タイミングに影響を及ぼすという「状態依存型賃金設定」の分析を進めた。具体的には、離散時間を仮定する動学ニューケインジアンモデルを用いて、賃金変更の頻度の異なる均衡が複数存在するのか、長期的な観点から分析を進めた。前年度までに得られていた均衡の唯一性という結果の頑健性を、賃金調整コスト、貨幣需要関数、パラメータを変更し確認した。また、より効率的に分析をするため、数値計算の手法を改良した。 得られた結果を論文にまとめ、Does State-Dependent Wage Setting Generate Multiple Equilibria?(KIER Discussion Paper Series、No.991)として公表した。そして、AEI Joint Workshop、China Meeting of the Econometric Society、International Conference on Computing in Economics and Financeなどの国際コンファレンス、Shanghai University of Finance and Economics、東北大学、慶應義塾大学、東京大学の研究会で報告し、得られたコメントを基に論文の改訂を行った。 さらに別のプロジェクトでは、借入制約が労働時間や経済厚生に与える影響を分析するため、家計間の異質性を考慮したモデルの構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
状態依存型賃金設定のプロジェクトでは、結果を論文にまとめ、セミナーなどで報告をし、英文査読付き雑誌への投稿まで進めることができた。また、借入制約と労働時間の関係を分析するプロジェクトでも、モデルの構築はほぼ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
状態依存型賃金設定の論文については、英文査読付き雑誌への掲載を目指し、分析の精緻化を進める。また、状態依存型賃金設定が経済の短期的な変動に与える影響についても新しいプロジェクトとして進めていきたい。
借入制約と労働時間の関係を分析するプロジェクトでは、モデルを完成させ、定量的な分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度参加予定だった国際学会を欠席することになったため、次年度に旅費として使用することにしたい。
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