• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

再分配制約を考慮に入れた資源配分メカニズムのミクロ経済理論分析

研究課題

研究課題/領域番号 17K13702
研究機関大阪大学

研究代表者

安田 洋祐  大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (70463966)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード格差 / 再配分 / パレート効率性 / 安定性
研究実績の概要

本研究では、完全競争市場をはじめとする様々な経済メカニズムが、効率性に加えて分配にどのような影響を与えているのかを評価できる理論的なフレームワークを構築し、経済メカニズムと格差との関係を分析した。
具体的には、再分配に制限があるような状況における弱い効率性の概念を新たに提唱し、各参加者がたかだか1単位しか財を需要・供給しないような同質財市場において、すべての効率的な配分の中で市場均衡が財の交換を最も少なくすることを明らかにした。さらに、一定の条件のもとで異質財市場にこの結果が拡張できることも示した。この結果は、競争市場が取引数量を最小化する、という特徴を持つメカニズムであることを示唆している。
日本を含め、世界各国で貧富の格差や不平等への関心が高まっている。富裕層から貧困層、持つ者から持たざる者へ簡単に富が分配できるのであれば、そもそも格差がここまで大きな問題になることはない。格差問題が「問題」であり続けている大きな理由は、格差を解消するような再分配の実現が様々な理由から難しいからである。「厚生経済学の第二基本定理」が示すように、どのような再分配もコストをかけず実現可能なのであれば、効率性と平等性という目標は矛盾しない。しかし、こうした再分配が可能という仮定は、現実の世界では近似的にすら満たされていない。
本研究は、既存研究の暗黙の前提を疑い、再分配の難しさを明示的に考慮するような新たな理論的なフレームワークを構築した。さらに、そのフレームワークを通じて、「完全競争市場が取引数量を最小化する」という意外な結果を導いた。市場やグローバル化が分配や格差に与える影響を厳密に分析するための土台を築いた社会的意義は大きい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Oligopolistic equilibrium and financial constraints2020

    • 著者名/発表者名
      Carmen Bevia, Luis C. Corchn, Yosuke Yasuda
    • 雑誌名

      RAND Journal of Economics

      巻: 51:1 ページ: 279-300

    • DOI

      https://doi.org/10.1111/1756-2171.12313

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Bankruptcy is an inevitable fate of repeated investments with leverage2019

    • 著者名/発表者名
      Momoka Nii, Takuya Okabe, Hiromu Ito, Satoru Morita, Yosuke Yasuda, Jin Yoshimura
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: 13745

    • DOI

      https://doi.org/10.1038/s41598-019-50237-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The Folk Theorem in Repeated Games with Endogenous Termination2019

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Yasuda
    • 学会等名
      North American Summer Meeting of the Econometric Society
    • 国際学会
  • [学会発表] 持続可能性と資本主義の未来  格差・技術・環境から考える2019

    • 著者名/発表者名
      安田 洋祐
    • 学会等名
      京都大学財政学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 「イノベーターのジレンマ」のゲーム理論的解明2019

    • 著者名/発表者名
      安田 洋祐
    • 学会等名
      日本OR学会関西支部シンポジウム
    • 招待講演
  • [図書] 人は明日どう生きるのか―未来像の更新2020

    • 著者名/発表者名
      南條史生ほか(共著)
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      NTT出版
    • ISBN
      978-4757143562
  • [図書] 2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展2019

    • 著者名/発表者名
      落合陽一ほか(共著)
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      SBクリエイティブ
    • ISBN
      978-4797399950
  • [図書] 資本主義はどこに向かうのか―資本主義と人間の未来2019

    • 著者名/発表者名
      堀内勉ほか(共著)
    • 総ページ数
      404
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4535559325

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi