研究実績の概要 |
当該年度においては下記の単著論文が国際的査読付雑誌Journal of Money, Credit and Bankingに掲載許可を得た。
■Financial Contagion in a Two-Country Model,Forthcoming, Journal of Money, Credit and Banking
概要:本研究は標準的な銀行理論モデル(Diamond and Dybvig(1983)モデル)を2ヵ国モデルに拡張し、均衡下においてある国の流動性不足が世界資本市場を通じて他国に波及するという金融危機の伝播が生じることを示した。さらに、この様な均衡は両国が閉鎖経済である場合よりも、市場を開放した場合の方が経済厚生が低下することを示した。本研究は、1970年代以降の世界的な金融自由化によって金融危機の頻度が上昇した事実と整合的であり、金融自由化のタイミングが経済厚生及び金融安定化にとって非常に重要であることを示唆している。さらに、本研究では、流動性規制の影響を考察した。ある国の流動性規制の強化は、他国にレバレッジ比率の高い銀行を移動させ、自国の金融安定化をもたらす一方で、他国はそれは不安定化することを示した。本結果は、世界的な金融安定化に対しては、世界的な流動性規制の強化で対処することが必要であることを意味している。
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