基となるゲームがm行n列の一般的な同時ゲームでも、取消可能なコミットメントのできるゲームには、純粋コミットメントによる部分ゲーム完全均衡が存在するとわかった。Dutta and Ishii (2016) の定理1とほぼ同じ証明のプロットである。Dutta and Ishii (2016) でのコミット権放棄と異なり、コミットメントを取り消すオプションは「交互に様子見をする」戦略組との同一視が行いやすく、短い記述で証明できた。 基となるゲームが2行2列や3行3列の序数的純粋調整ゲームや、3行3列以下のパレート序列づけられた戦略の数と同じだけの純粋戦略ナッシュ均衡をもち Milgrom and Shannon (1994) の一回交差性を満たす有限2人強ゲームにおいて、純粋コミットメントによる部分ゲーム完全均衡はパレート効率的でないものは見つからなかった。 けっきょく証明できず、基となるゲームが4行4列の調整ゲームでパレート効率的でない、純粋コミットメントによる部分ゲーム完全均衡を発見した。両プレイヤーとも、第1期にパレート効率的な結果をもたらす行動にコミットし、第2期にともにコミットメントを取り消し、第3期にはともに様子見をして、行動段階では「パレート序列第2位の行動」をプレイする、という均衡経路である。 なお、Dutta and Ishii (2016) で示された、基となるゲームが2行2列の序数的純粋調整ゲームの動学的コミットメントゲームにおけるパレート効率的でない混合戦略均衡の存在は不明のままである。少なくとも、Dutta and Ishii (2016) と同様の戦略組 (コミットメント段階で確率的装置を用いる) は均衡にならない。この事実は、コミットメントゲームにおける権利放棄と取消の構造上の違いを示しているのかもしれない。
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