研究課題/領域番号 |
17K13716
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
王 文傑 広島大学, 社会科学研究科, 特任助教 (90773747)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ブートストラップ / モーメント条件 / 漸近分布 |
研究実績の概要 |
今年度は、Wang and Kaffo (2016) の議論を参考にしながら、ブートストラップ法に関する漸近的な理論を導出しました。具体的には、通常のブートストラップ法はMany/Weak Moment Asymptoticsの下で理論的な妥当性を失うことが確認されました。また、その漸近的な誤差を Wang and Kaffo (2016) の計算手法とテクニックを用いて導出しました。ここで、二種類の誤差があることがわかりました:(a)モーメント条件の強度をうまく再現できないことから生じる誤差と(b)沢山のモーメント条件を使うことから生じる誤差です。これらの誤差は線形操作変数モデルにだけでなく、一般化モーメント条件モデル (Generalized Method of Moments) や一般化経験尤度モデル (Generalized Empirical Likelihood) にも影響があります。さらに、上記のブートストラップ法の誤差問題を解決するために、修正方法を開発しました。この修正方法の理論的な妥当性を示すために、部分列の収束に関する漸近理論 (Subsequence Asymptotic Argument) を利用しました。結果として、新しい修正方法は一様妥当性を持つことが証明されました。最後、たくさんのモンテカルロ・シミュレーション実験を行い、異なる標本数、操作変数の数と操作変数の強度を生成することにより、提案されたブートストラップの小標本パフォーマンスを評価しました。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の予定通りに進捗しました。Wang and Kaffo (2016) の結果を予定通りに、もっと一般的なモデルにでも拡張できることを示しました。また、新しい数学的テクニッックを導入することによって、提案された新しい修正方法の理論的な妥当性も順調に証明できました。最後、モンテカルロ実験の結果も理論的な予測と一致しています。従って、概ね順調に進展しています。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年5月から海外の研究機関に移動しましたため、廃止申請の手続きをしました。
|
次年度使用額が生じた理由 |
参加した国際学会は年度末にあったため、部局の会計上の理由で次年度使用額が生じた。
|