研究課題/領域番号 |
17K13731
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
長町 康平 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (10632284)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 空間経済学 |
研究実績の概要 |
人工知能のような汎用技術が都市システムに与える影響を解析的に分析するためのモデルを構築し、理論的な分析を進めた。汎用技術が持つ様々な影響の中でも、先行研究で十分に分析されていない消費サイドのメカニズムに着目し、技術進歩が外生的に与えられるベンチマークモデルと研究開発と都市・企業の技術導入が相互依存関係を持つ内生的な技術進歩の拡張モデルを構築した。その上で、外生的な技術進歩のモデルを使って、事実解明的分析と規範的分析を行った。事実解明的分析では、技術進歩率と輸送費の水準に依存して複数均衡が生じるなど、市場均衡の性質が変化することが示された。規範的分析では、技術進歩率と輸送費の水準に依存して、市場均衡が効率的である場合とそうでない場合の両方が存在することを示し、汎用技術の黎明期における不確実性と期待の役割を都市の盛衰や経済成長に関連付ける形で整理した。 先行研究では生産サイドに着目した分析が中心であること、また、都市経済学の文脈では消費サイドの視点の重要性が指摘されていることから、本研究は先行研究を都市経済学的に重要な形で補完するものであると言える。加えて、解析的に分析できる新しい空間経済モデルを提示している点も本研究の意義である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究テーマの性質上、モデルが複雑になる傾向があり、問題の本質的要素を特定していかに必要最小限のモデルを構築するかの試行錯誤が必要になるが、この点において非常に時間を要した。具体的には、扱う対象が人工知能(汎用技術)であり社会経済に多面的な影響をもたらすことから、それをモデルの中でどのように表現するか、何を扱い、何を捨象するかで様々なモデルを構築して計算することになり、当初の予定よりもベンチマークモデルの構築に時間を要したことが原因である。
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今後の研究の推進方策 |
技術進歩が内生的である場合について事実解明的分析及び規範的分析を行い、技術進歩が外生的である場合との比較を行う。これらの分析が完了し次第、論文を執筆し国際雑誌に投稿する。 また、上記の分析と並行する形で、数量的・実証的な動学的一般均衡モデルの開発と分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル開発に時間を要し分析が予定よりも遅れた結果、国内外の学会・ワークショップ等での研究報告を行うことができなかったこと、論文投稿ができなかったこと(英文校正料や投稿料が発生しなかったこと)が次年度使用額が生じた理由である。次年度における研究報告や論文投稿のために使用する予定である。
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