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2019 年度 実施状況報告書

規制緩和と貿易自由化の相互作用がマクロ経済に与える定量的インパクト

研究課題

研究課題/領域番号 17K13732
研究機関九州大学

研究代表者

村尾 徹士  九州大学, 経済学研究院, 准教授 (00645004)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードグローバル化 / 経済格差
研究実績の概要

(具体的内容)令和元年度は,引き続き,(1)基本モデルの構築作業/モデルを計算するためのプログラム作成作業,および(2)最終的な分析モデルを規律付けるための実証的エビデンスの確認作業を行った.とりわけ今年度は,(1)に関する作業を重点的に行った.具体的には,大規模な外生的ショックが「グローバリゼーションと経済格差の関係」に与える影響を理解するための,動学的一般均衡モデルの構築に注力した.注目したのは賃金決定のメカニズムである.マイクロデータを用いた実証研究や記述的研究が明らかにしてきたのは,国や経済圏ごとに異なる賃金設定方式が採用されているという事実である.さらに重要なことは,賃金決定方式は法制度や企業組織構造といった,労働市場外部にある要因と密接な関連がある可能性が示唆されている点である.グローバリゼーションが経済格差に与える影響を理解するためには,こうした制度的諸側面を包括的に取り込んだモデルを構築する必要がある.労働経済学における理論研究では,賃金決定方式に関して複数の設定が提案されてきた.本年度は,こうした既存研究の知見を活かし,複数の賃金決定メカニズムを導入した場合の開放動学一般均衡モデルの構築,およびその競争均衡を計算するためのプログラムの作成に注力した.

(意義・重要性)賃金決定方式は国ごとに異なることが知られている.そして大規模な外生的ショックに対するマクロ経済調整のスピードは,その経済において支配的な賃金決定方式に依存して異なることが予測される.本研究課題の焦点である「大規模な外生的ショックがグローバリゼーションと経済格差の関係に与える動学的影響」を理解するためには,「賃金決定方式の違いが開放動学経済の移行動学に与える影響」をまずは明らかにする必要があると考える.こうした点について既存研究の検討は未だ不十分であり,それゆえ本研究には一定の意義があると考える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題の中核となる基本モデルの構築に関して,方向性に関する重要な進展があったためである.具体的な進展は以下の2点にまとめられる:

(1)「大規模な外生的ショックがグローバリゼーションと経済格差の関係に与える動学的影響」を解明するという研究課題に対して,「複数の賃金決定方式の存在」という視点を導入することで,「賃金決定方式の違いが開放動学経済の移行動学に与える影響」を解明するという方向での大きな進展が見られたこと.

(2)それら複数の賃金決定方式の開放動学的一般均衡モデルへの導入と数値計算について,一定の目途を立てることができたこと.

今後の研究の推進方策

上述の通りの研究の進展があったため,最終年度の海外学会での発表を当初予定より増やすこととする.

次年度使用額が生じた理由

海外学会での発表を当初予定より増やすこととし,今年度の支出を抑制したため.

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公開日: 2021-01-27  

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