研究課題/領域番号 |
17K13739
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研究機関 | 京都学園大学 |
研究代表者 |
木口 武博 京都学園大学, 経済経営学部, 准教授 (00409624)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 移民 / 動学的一般均衡モデル / ベイズ推定 / 労働市場 / マクロ経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は、移民の拡大が受入国のマクロ経済動学に及ぼす影響を分析することを目的とする。研究課題の二年目にあたる平成30年度は、主にモデルの構築とベイズ推定を行った。
まずモデル構築についてであるが、筆者がこれまで移民を組み込む形で構築してきたBruckner and Pappa (2012)のモデルに、さらに技術水準や消費の習慣形成を取り入れたところ、金融政策ショックに対する実質金利のインパルス応答関数の形状が非現実的なものとなり、さらにその結果は頑健であることが判明したため、基にするモデルをChristiano, Eichembaum and Trabandt (2016)のものに変更することにした。
また、ベイズ推定については、アメリカ経済を対象とし、必要な原データを、Christiano, Walentin and Tarbandt(2011)に従って集める作業を行った。Christiano, Eichembaum and Trabandtでは14変数が用いられているが、筆者はまず6~7変数ほどで推定を行い、結果を先行研究と確認・比較している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、上記の通り、Christiano, Eichembaum and Trabandtモデルに移民を組み込む形で拡張することに取り組んだが、基本となるモデルはほぼ完成している。また、同じく上記のベイズ推定においても、6変数を用いた推定に関しては、初歩的な結果を得ることには成功しており、概ね順調である。しかしながら、筆者が働く大学が翌年度からの校名変更に加え、新カリキュラムを導入することとなり、学内業務のため研究に割く時間が制限され、学会やワークショップ、セミナーでの発表は十分にできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り拡張モデルはほぼ完成しているが、来年度は確認のためまずミクロ的基礎付けに基づいて各式の導出を厳密に行う。またその後は、ベイズ推定に用いる変数を少しずつ追加し、最終的には移民を表す変数も追加し、その効果を推定し、国内外の大学での発表と並行して論文としてまとめる作業を行う。論文の完成後は、査読付きの国際学術誌へ投稿し、早期の掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
若手研究(B)は年度の区切りにとらわれず研究費を使用できるので、予算を無理に使い切ることをしなかった。来年度の研究発表の旅費に追加する予定である。
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