本研究では、移民の拡大が受入国のマクロ経済動態に与える影響を理論的・実証的に考察した。主な研究成果は以下の二点である。(1) サーチ摩擦と失業者の異質性を考慮したモデルにおいては、外生的な移民の拡大が、短期的な失業の上昇と一人当たりGDPの減少につながる (2) 移民労働者が現地労働者と異なる賃金交渉力を持つモデルでは、そうでないモデルよりもデータの当てはまりがよい。このことは、賃金交渉力の低さゆえに移民労働者の賃金が低くなり、労働コストが低下した結果、企業の投資や雇用創出が活発に行われるモデルが、現実をうまく説明できていることを示唆する。
|