• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

制度の質が経済発展に与える効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K13740
研究機関関西大学

研究代表者

岡田 啓介  関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード経済発展 / 制度 / 政治体制 / 汚職
研究実績の概要

本年度は、研究計画に基づき、以下の点について研究活動を行った。

(1)貧困層の生活の質は政治体制に依存するところが大きい。民主主義的な政治体制の下では、政府が健康や教育などに関する支出を増加させ、貧困層の生活の質が改善する可能性がある。一方で、開発途上国では汚職などの影響により政府支出の増加が必ずしも貧困層の生活の質の改善につながらないことも指摘されている。この研究では、政治体制が健康水準(乳幼児死亡率、幼児死亡率、平均寿命)にどのような効果を及ぼすのかについて世界180か国のデータを使用して検証した。研究結果から、民主主義が成熟すると健康水準が改善し、その改善効果は健康水準の劣悪な国において大きいことが判明した。また、民主主義体制であれば議院内閣制と大統領制が健康水準に与える影響の差は小さい一方で、権威主義体制下では文民支配・軍政・王政ごとに健康水準に与える影響が大きく異なることも明らかとなった。研究成果は国際的学術雑誌Economic Systemsに近刊予定である。

(2)天然資源が豊富な国において、経済パフォーマンスが低調であることがしばしば観察される。この状況は「資源の呪い」と呼ばれている。天然資源に関わる資金は不透明であることが多く、資源の呪いの原因の一つとして汚職の存在が指摘されている。この問題に対する国際的な取組として、「採取産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative:EITI)」がある。この研究では、アフリカ諸国に着目し、EITIの経済的効果について理論的・実証的側面から検証している。研究結果から、ある国がEITIに参加することでその国の天然資源レントが増加することが明らかとなった。研究成果は論文にまとめ、関西大学経済学会のワーキングペーパーとした。今後、さらに加筆修正を進め、国際的学術雑誌に投稿予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

政治体制が貧困層の生活の質に与える影響に関する研究は、国際的学術雑誌に掲載が決定した。また、「採取産業透明性イニシアティブ」の経済的効果に関する研究は、ワーキングペーパーとしてまとめることができた。

今後の研究の推進方策

「採取産業透明性イニシアティブ」の経済的効果に関する研究はさらに加筆修正を進め、国際的学術雑誌に投稿予定である。また、汚職が経済パフォーマンスにどのような影響を及ぼすのかについて、企業レベルのマイクロデータを利用した研究にも取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していたリサーチアシスタントの雇用がなかったため、次年度使用額が発生した。次年度は統計ソフトの購入、研究打ち合わせ・研究成果報告のための旅費、書籍の購入などを計画している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Health and Political Regimes: Evidence from Quantile Regression2018

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Okada
    • 雑誌名

      Economic Systems

      巻: 42 (2) ページ: 307-319

    • DOI

      10.1016/j.ecosys.2017.06.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Transparency and Natural Resource in Sub-Saharan Africa2018

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Okada, Takayoshi Shinkuma
    • 雑誌名

      The Economic Society of Kansai University, Working Paper F-84

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] How Does Democratization Affect the Composition of Government Expenditure?2017

    • 著者名/発表者名
      Go Kotera, Keisuke Okada
    • 雑誌名

      Journal of Economic Behavior and Organization

      巻: 137 ページ: 145-159

    • DOI

      10.1016/j.jebo.2017.03.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Simple Model of Contract Enforcement Institutions2017

    • 著者名/発表者名
      Takuma Kunieda, Keisuke Okada, Akihisa Shibata
    • 雑誌名

      Pacific Economic Review

      巻: 22 ページ: 410-434

    • DOI

      10.1111/1468-0106.12090

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Corruption and Natural Resource Rents: Evidence from Quantile Regression2017

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Okada, Samreth Sovannroeun
    • 雑誌名

      Applied Economics Letters

      巻: 24 ページ: 1490-1493

    • DOI

      10.1080/13504851.2017.1287849

    • 査読あり
  • [学会発表] Transparency and Natural Resource in Sub-Saharan Africa2018

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Okada, Takayoshi Shinkuma
    • 学会等名
      第二回 関西学院大学-KIER シンポジウム「グローバル化と不確実性の経済分析」(関西学院大学)
  • [学会発表] Transparency and Natural Resource in Sub-Saharan Africa2018

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Okada, Takayoshi Shinkuma
    • 学会等名
      応用マクロ経済学セミナー/マクロ経済学・経済システム研究会(京都大学)

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi